オススメ本紹介します

-本好きなかたの本選びのヒントに-

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2019-12-26 (Thu)

「訣別」上・下 マイクル・コナリー

「訣別」上・下 マイクル・コナリー

「訣別」上・下 マイクル・コナリー(2019年、講談社文庫、880円・900円)ハリー・ボッシュはロス市警を定年退職後、私立探偵業のかたわら、サンフェルナンド市警で無給の嘱託刑事として働き始めています。(良かった! やはりボッシュの居場所は警察ですから。)探偵ボッシュは、ある高齢の大富豪(結婚歴なし)から、こんな依頼を受けます。「若いころほんの短期間つき合った恋人とのあいだに、子どもができていた可能性がある...

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無題

「訣別」上・下 マイクル・コナリー
(2019年、講談社文庫、880円・900円)


ハリー・ボッシュはロス市警を定年退職後、私立探偵業のかたわら、サンフェルナンド市警で無給の嘱託刑事として働き始めています。(良かった! やはりボッシュの居場所は警察ですから。)

探偵ボッシュは、ある高齢の大富豪(結婚歴なし)から、こんな依頼を受けます。
「若いころほんの短期間つき合った恋人とのあいだに、子どもができていた可能性がある。
その子をさがし出してほしい。遺産を相続させたいから」

さっそく調査を開始するボッシュです。
「優秀なボッシュは必ずや的確な成果をあげるだろう」と、読者もボッシュ自身もわかっています。

この調査と並行して、嘱託刑事であるボッシュは、連続レイプ魔事件に取り組んでいます。
若いラテン系の女性刑事(その仕事熱心さをボッシュは大いに気に入っている)と組んで捜査にあたるなか、
終盤で、この女性刑事がたいへんな危機に巻き込まれます。

サンフェルナンド署の凡庸な警察官には、この難局は切りぬけられない。
でも、正規職員でないボッシュに捜査の主導権はない。
このジレンマ状況で、果たして女性刑事を救出できるのか。
ハラハラ、ドキドキ! このあたりの活劇要素がすばらしいです!

探偵業の「富豪の相続人さがし」のほうも、おどろきの結末とともに解決に向かいます。
(異母弟ハラー弁護士の協力も得て。)

ブラヴォー!
全体的にハイレベルなボッシュ・シリーズですが、なかでもきわだったできばえの作品だと思います。
初めてこのシリーズを読むという方も、じゅうぶん楽しめます。 オススメです!


2019-12-21 (Sat)

「国宝」下巻 吉田修一

「国宝」下巻 吉田修一

「国宝」下巻 吉田修一(2018年、朝日新聞出版、1500円)出奔していた俊介(歌舞伎名優 花井半二郎の嫡男)が歌舞伎界に復帰するところから、下巻の幕が開きます。すぐに、マスコミの「喜久雄叩きキャンペーン」が大々的に始まります。「正統の跡継ぎを追い出して、ちゃっかりと花井家名跡を継いだ男」と、面白おかしいお家騒動に仕立てて。一時は歌舞伎界に居場所をなくして、新国劇に活路を見いださざるを得ない喜久雄です。で...

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吉田無題

「国宝」下巻 吉田修一
(2018年、朝日新聞出版、1500円)


出奔していた俊介(歌舞伎名優 花井半二郎の嫡男)が歌舞伎界に復帰するところから、下巻の幕が開きます。
すぐに、マスコミの「喜久雄叩きキャンペーン」が大々的に始まります。
「正統の跡継ぎを追い出して、ちゃっかりと花井家名跡を継いだ男」と、面白おかしいお家騒動に仕立てて。

一時は歌舞伎界に居場所をなくして、新国劇に活路を見いださざるを得ない喜久雄です。
でもじっさいの喜久雄と俊介のあいだには、互いを「喜久ちゃん」「俊ぽん」と呼び合う温かい情愛が消えることなく残っていて、読者の気持ちをほっこりとさせてくれます。

さて上巻でも感じられた「これってあり得ないでしょ」という波瀾万丈感は、下巻でさらに増幅され、もはや一種の『講談』の域に達しています。

*悪質な不良グループから女子中学生を抜けさせるために、指を詰める話だとか、
*糖尿病の合併症で足を切断する話だとか、
*結婚相手の相撲取りがアレヨアレヨと横綱になる話だとか、
*新進期待の若手役者がひき逃げ事故を起こす話だとか、
*上述相撲取りの家が火事で焼失する話だとか、
*ひと旗上げようと中国に渡って、本当に大金持ちになる話だとか。
(主語をぼかしたり省いたりしているのは、ネタバレ防止のためです。)

何たる誇張! 何たる奇想天外! 何たる饒舌!
内心あきれつつも、面白さに引き込まれて夢中で読みました。
驚きの上下巻でした。 小説を読む楽しさを堪能しました。 吉田修一スゴイ!です。

2019-12-10 (Tue)

「ケイトが恐れるすべて」ピーター・スワンソン

「ケイトが恐れるすべて」ピーター・スワンソン

「ケイトが恐れるすべて」ピーター・スワンソン(2019年、創元推理文庫、1100円)スワンソンという著者名に聞き覚えがありました。「そしてミランダを殺す」を書いたひとです。昨年の今ごろ大いに感心して読んだミステリですが、邦訳次作となる今回の作品も負けていません。 すごい才能だなあと、感心しながら読みました。ロンドンに住むケイトは、ボストン在住の又従兄弟コービンと、半年間住居を交換することになります。(ロン...

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ケイト無題

「ケイトが恐れるすべて」ピーター・スワンソン
(2019年、創元推理文庫、1100円)


スワンソンという著者名に聞き覚えがありました。
「そしてミランダを殺す」を書いたひとです。
昨年の今ごろ大いに感心して読んだミステリですが、邦訳次作となる今回の作品も負けていません。
すごい才能だなあと、感心しながら読みました。

ロンドンに住むケイトは、ボストン在住の又従兄弟コービンと、半年間住居を交換することになります。
(ロンドン転勤となったコービンからの申し出です。)
ボストンのコービンのアパートは驚くほど豪華で、ケイトは異国での生活にワクワクと胸をはずませます。

が、コービンの隣室女性が、どうも殺人事件の被害者になったらしい...。
コービンはその女性とつきあっていたのか? もしかして犯人はコービン?

...みたいな出だしのあと、ケイト視点で書かれていたストーリーがとつぜん、①向かいのアパート住人男性の視点、
②コービンの視点、③さらにべつの人物の視点...へと変化していきます。
このテクニックが非凡ですばらしく、読者はさまざまな秘密に度肝をぬかれてハアハア喘いでしまいます。

すべての伏線がもれなく回収されてみごとです。
また、人物造型の納得感がつよいので、居心地良く小説世界にひたることができます。
モンスター犯罪者の両親(ほんの端役)にいたるまで、とても印象的に描写されています。

わたしの評価は「そしてミランダを殺す」をしのぎます。
堂々の『5.0』でいいかもしれません。 スワンソン氏に脱帽です。

2019-12-02 (Mon)

「隠された悲鳴」ユニティ・ダウ

「隠された悲鳴」ユニティ・ダウ

「隠された悲鳴」ユニティ・ダウ(2019年、英治出版、2000円)以前、チママンダ・ンゴンズィというナイジェリア人女性作家の小説を読んで、その明晰な知性におどろき、既成のアフリカイメージ(「未開」「無知」「貧困」「内戦」)にとらわれていた自分を恥じました。ボツワナを舞台にしたこの小説も、ひじょうにたくみに描かれています。「それなりに社会的地位のある男が3人登場して、何やら邪悪な目論見を相談し合う」という冒...

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悲鳴無題

「隠された悲鳴」ユニティ・ダウ
(2019年、英治出版、2000円)

以前、チママンダ・ンゴンズィというナイジェリア人女性作家の小説を読んで、その明晰な知性におどろき、既成のアフリカイメージ(「未開」「無知」「貧困」「内戦」)にとらわれていた自分を恥じました。

ボツワナを舞台にしたこの小説も、ひじょうにたくみに描かれています。

「それなりに社会的地位のある男が3人登場して、何やら邪悪な目論見を相談し合う」という冒頭30ページ。
...読者の胸にいやな不安の影を落としたまま、時は5年後にとびます。

5年後の同じ村。
アマントルという聡明で勇敢な若い女性が「国家奉仕ワーカー」として、この地に派遣されてきます。
アマントルは、ひょんなことから、5年まえに行方不明になった11歳の少女の服を見つけます。
村は騒然となります。
5年まえの怒り、悲しみ、疑惑、が再度吹き出してくるのです。

村人たちやアマントルは、少女の失踪について、何か恐ろしい疑惑を抱いているようです。
でも、読者にはなかなかその内容が明かされません。
警察やおえら方たちが失踪少女事件をのらりくらりと隠蔽するようすを見て、読者の不安はつのるばかりです。

小説最後でようやく真実が明らかになったとき、読者は、あまりのむごさに言葉を失うことになります...。

著者は、ボツワナ初の女性最高裁判事となったひとで、現在は政府外務大臣です。
2012年に「世界を揺るがす150人の女性」のひとりに選ばれるなど、ボツワナを代表する知性です。
そういう女性が、母国の「闇」を深い慟哭とともに描きだした小説。

苦しく、恐ろしく、忘れることのできない物語です。

2019-11-30 (Sat)

「きのね」宮尾登美子

 「きのね」宮尾登美子

「きのね」上・下 宮尾登美子(1999年、新潮文庫、各667円)前記事でご紹介した『国宝』に、「(歌舞伎界を舞台にした小説で)これに匹敵するのが『きのね』です」とのコメントをいただき、さっそく図書館に走ったわたしです。2、3日でイッキ読みしました。小説の時代背景は、昭和10年ごろ~昭和50年ごろ。主人公光乃は、貧しく母親縁のうすい家庭に育ち、無口で勤勉で地味な娘です。18歳のとき、職業斡旋所の紹介で、名...

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きのね無題

「きのね」上・下 宮尾登美子
(1999年、新潮文庫、各667円)


前記事でご紹介した『国宝』に、「(歌舞伎界を舞台にした小説で)これに匹敵するのが『きのね』です」とのコメントをいただき、さっそく図書館に走ったわたしです。
2、3日でイッキ読みしました。

小説の時代背景は、昭和10年ごろ~昭和50年ごろ。
主人公光乃は、貧しく母親縁のうすい家庭に育ち、無口で勤勉で地味な娘です。
18歳のとき、職業斡旋所の紹介で、名門歌舞伎役者の家で住み込み女中として働き始めます。

生まれ育った環境とはまったく違う豪華絢爛な世界に気圧されつつ、一心に働く光乃ですが、あるとき、この家の長男雪雄(26歳、新進人気俳優)の顔を初めて間近に見て、その美しさに心をわしづかみにされます。

この日から、光乃の苦しい恋が始まります。 身分違いの、成就するはずもない恋が...。
主従という身分の差だけではありません。
かたや絶世の美男と呼び声の高い人気俳優と、かたや地味でもっさりした田舎娘です。

光乃のせつない恋のゆくすえやいかに? と、前のめりになって読みすすみますが、この小説、もうひとりの主人公「雪雄坊ちゃま」の造型もなかなかみごとです。
とにかくハンサム、とにかく人気者、とにかくかんしゃく持ち。そして、とにかくすぐれた歌舞伎役者。

歌舞伎界について、歌舞伎役者について、歌舞伎演目について、熟達の文章で縦横に語られるのもうれしい。

宮尾登美子らしい、すぐれた作品でした。
雪雄の最期、光乃の最期を読み、「ああ...」という深い感慨で本を閉じました。

*読み終わったあとで、これがモデル小説だと知って驚きました。
「松川玄十郎」を襲名する雪雄のモデルは十一代目「市川団十郎」、つまり今の海老蔵の祖父にあたるひとだそうです。

「きのね」も新聞小説 * by はんのすず
「国宝」も「きのね」も、新聞連載時、とても楽しみで、そして、大々感激しました。
ちょっと、連載ロス(新しい連載になじめない)にかかった記憶があります。

Re: 「きのね」も新聞小説 * by YUMY
なるほど、「きのね」も新聞小説だったんですね。
毎日楽しみだったこと、よく理解できます。
あの驚きの出産場面が掲載された日などは、全国の朝日新聞読者が「おお!」とどよめいたことでしょうね。

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2019-11-23 (Sat)

「国宝」上巻 吉田修一

「国宝」上巻 吉田修一

「国宝」上巻 吉田修一(2018年、朝日新聞出版、1500円)図書館予約で上巻だけ先に来て、下巻はいくら待っても来ません。忘れないうちに、上巻についてだけ書いておきたいと思います。主人公立花喜久雄は、長崎の立花組親分権五郎のひとり息子です。14歳の時(昭和39年)、ヤクザ同士の抗争で父親を失います。喜久雄を立花組跡目に、という動きもあったのですが、かれは好きな歌舞伎の道に進む決心をします。二代目花井半二郎...

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国宝無題

「国宝」上巻 吉田修一
(2018年、朝日新聞出版、1500円)

図書館予約で上巻だけ先に来て、下巻はいくら待っても来ません。
忘れないうちに、上巻についてだけ書いておきたいと思います。

主人公立花喜久雄は、長崎の立花組親分権五郎のひとり息子です。
14歳の時(昭和39年)、ヤクザ同士の抗争で父親を失います。
喜久雄を立花組跡目に、という動きもあったのですが、かれは好きな歌舞伎の道に進む決心をします。

二代目花井半二郎という当代きっての名優が、喜久雄の才能を見込んで自宅に引き取ったばかりか、「部屋子」としての破格の待遇も与えます。(「部屋子」とは、世襲でない素人でも、その才能を見込んで幹部俳優として育てていく制度。)

半二郎には喜久雄と同年の俊介という息子がいて、ふたりの少年は切磋琢磨しながら稽古に励みます...。

芸道ものです。
似たようなテーマで、すぐ頭に浮かんだのが、有吉佐和子の「一の糸」です。
人形浄瑠璃の三味線弾きの話で、芸道の喜び苦しみが説得力たっぷりに描かれて、すばらしい作品でした。

吉田修一、有吉佐和子に負けていません。 みごとです。
初めて読んだ「悪人」がブラヴォーだったのに、そのあとの作品群がややいまいち...だった吉田氏。
この小説を読んで、かれの力量をあらためて再認識しました。


No Subject * by はんのすず
新聞連載時、毎朝が楽しみでした。
毎日、喜久雄と俊介を探していました。
これと匹敵するのが、歌舞伎役者の家に奉公して、やがて妻となる女性をえがいた、宮尾登美子の”きのね” だったと思います。
歌舞伎を知らなくても、きらびやかさや華やかさ、舞台の裏や奥などが、とても鮮やかでした。

Re: No Subject * by YUMY
そうでしたね、この作品は朝日新聞の連載小説でしたね。(うちは毎日新聞購読です。)
多くの朝日新聞読者が読んだ小説を今さららしくご紹介して、ちょっときまり悪いです。
宮尾登美子の「きのね」、読んでみたいです。

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2019-11-19 (Tue)

「督促OL修行日記」榎本まみ

「督促OL修行日記」榎本まみ

「督促OL修行日記」榎本まみ(2012年、文藝春秋、1150円)著者榎本さんが大学4年生のとき、世の中は就職氷河期のまっただ中。片端から採用試験に落ちまくる中、やっとのことで、あるクレジットカード会社に合格します。希望に燃えて入社した会社で、彼女が配属されたのは「督促コールセンター」でした。そう、クレジットカードの返済がとどこおるひとに「金返せ」と電話する仕事です。朝7時から夜11時まで、電話をかけまくり...

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督促無題

「督促OL修行日記」榎本まみ
(2012年、文藝春秋、1150円)


著者榎本さんが大学4年生のとき、世の中は就職氷河期のまっただ中。
片端から採用試験に落ちまくる中、やっとのことで、あるクレジットカード会社に合格します。
希望に燃えて入社した会社で、彼女が配属されたのは「督促コールセンター」でした。

そう、クレジットカードの返済がとどこおるひとに「金返せ」と電話する仕事です。
朝7時から夜11時まで、電話をかけまくります。 (なんと、ノルマは1時間に60本。)
電話の相手は「すみません、すぐ返します」というひとばかりではありません。
督促電話に逆ギレして「今からてめえを殺しに行くからな」などと叫ぶひともめずらしくありません。

こんな殺伐としたブラック職場で、大学新卒の若い榎本さんは...。
もちろん、心身の不調に見舞われます。
原因不明の発熱、体重激減、円形脱毛、皮膚病、ドライアイ、...。
同期入社の仲間たちは、どんどん脱落していきます。

しかーし。 榎本さんは踏みとどまるのです。
踏みとどまってさらに、仕事上のテクニックも工夫して学んでいきます。
むずかしい督促相手をタイプ別に分類して、攻略法を考えたり。

大学サークルの同窓会で、華やかな新入社員生活を送っている友人に会ったときは、さすがにへこみます。
また同じクレジットカード会社でも、営業とか人事とか総務とか楽そうな部署はいくらでもあるのに、なぜ私だけこんな目に? という情けなさもあります。

でも、基本的に榎本さんは「自己憐憫にとらわれてウジウジ」というタイプではないようです。
苦境の中でも活路を求めて前を向く。 すごくカッコイイです。 会ってみたいひとです。

『借金の督促』という仕事がイキイキと描かれ、興味深い読書となりました。



2019-11-15 (Fri)

索引作業がすべて終了しました

索引作業がすべて終了しました

みなさま索引のリンク張り替えが、完全に終了したのでお知らせします。「作品名索引」は数週間前に終わったのですが、そのつぎの「著者名索引」で少し悩みました。そのまま掲載するとデータが多すぎて見づらくなる、という危惧があったからです。考えた結果、<2冊以上の本を取りあげた著者のみ残して、それ以外の著者は削除する>方針としました。(多少の例外あり。)また、好きな作家である「奥田英朗」と「姫野カオルコ」につ...

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みなさま
索引のリンク張り替えが、完全に終了したのでお知らせします。

「作品名索引」は数週間前に終わったのですが、そのつぎの「著者名索引」で少し悩みました。
そのまま掲載するとデータが多すぎて見づらくなる、という危惧があったからです。

考えた結果、
<2冊以上の本を取りあげた著者のみ残して、それ以外の著者は削除する>方針としました。(多少の例外あり。)
また、好きな作家である「奥田英朗」と「姫野カオルコ」については、新たにカテゴリを作成しました。

さて「作品名索引」ですが、よく見ると並び順がけっこういい加減だったので、以下の基準で並べ替えました。
*「は」「ば」「ぱ」などは区別しない。
*「ゆ」と「ゅ」も区別しない。
*「シーズン」は「シイズン」と、「トータル」は「トオタル」とみなす。

索引全体として、作業ミスや作業漏れがいくつかあるかと思いますが、どうか大目に見てください。
今後ともよろしくお願いします。

2019-11-14 (Thu)

「ママは身長100cm」伊是名夏子

「ママは身長100cm」伊是名夏子

「ママは身長100cm」伊是名夏子(2019年、ハフポストブックス、1400円)1982年に沖縄で生まれた著者伊是名さんは、生後まもなく「骨形成不全症」との診断を受けます。骨がもろい、とにかくもろい。 (オムツを替えるだけで、足の骨が折れてしまうのです。)子どものころ、何度骨折を繰りかえしたことか。末っ子の伊是名さんは、両親とふたりの姉のたっぷりの愛情を受けて、スクスクと成長していきます。歩けないことも、...

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まま無題

「ママは身長100cm」伊是名夏子
(2019年、ハフポストブックス、1400円)


1982年に沖縄で生まれた著者伊是名さんは、生後まもなく「骨形成不全症」との診断を受けます。
骨がもろい、とにかくもろい。 (オムツを替えるだけで、足の骨が折れてしまうのです。)
子どものころ、何度骨折を繰りかえしたことか。

末っ子の伊是名さんは、両親とふたりの姉のたっぷりの愛情を受けて、スクスクと成長していきます。
歩けないことも、身長が伸びないことも、何のその。
小学校・中学校を養護学校で過ごした伊是名さん、高校は普通高校に進学します。

そこで経験した、きらめく青春時代。
そして、高校卒業後は、上京して早稲田大学に進学。
その後、結婚⇒出産、と伊是名さんの人生はつづきます。

一読驚嘆でした。
何という深い知性! 何という剛胆な勇気!
「重い障害にへこたれて、下を向いて縮こまる」という生き方は、伊是名さんの人生選択肢にはありません。

大きな困難を背負いつつ勇敢に生活するひとを、以前からわたしは、尊敬を込めて「冒険家」と呼んでいます。
「みぞれふる空」の米本さんご夫婦、
「リハビリの夜」の熊谷晋一郎さん、
などとならび、ここにまた、「第一級冒険家」 伊是名夏子さんの登場です。

このおどろくべき女性のことを、ぜひみなさまにも知っていただきたいです。

2019-11-08 (Fri)

「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」A・J・フィン

「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」A・J・フィン

「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」 上・下  A・J・フィン(2018年、早川書房、各1600円)児童精神分析医として成功していたアナ・フォックス (30代) は、いま、引きこもり生活のまっ最中。10ヶ月まえに広場恐怖症を発症し、文字通り、家から一歩も出られなくなったのです。夫や8歳の娘とはなぜか別居中ですが、毎日、愛情のこもった電話をかけ合っています。あるときアナは、向かいのラッセル家で殺人事件が起...

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woman無題

「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」 上・下 
A・J・フィン
(2018年、早川書房、各1600円)

児童精神分析医として成功していたアナ・フォックス (30代) は、いま、引きこもり生活のまっ最中。
10ヶ月まえに広場恐怖症を発症し、文字通り、家から一歩も出られなくなったのです。
夫や8歳の娘とはなぜか別居中ですが、毎日、愛情のこもった電話をかけ合っています。

あるときアナは、向かいのラッセル家で殺人事件が起こるのを、ぐうぜん目撃します。
警察に通報しますが、ラッセル家は 「誰も死んでいない」 と、事件性を全否定。
警察も、 「神経症引きこもり女性の妄想」 とかたづけて、取り合ってくれません。

「でも、たしかに見た、ひとが (たぶんラッセル夫人) 刺されるところを...」 と、
あきらめきれないアナです。
真相はいかに?

という比較的シンプルなミステリですが、面白い、すごく面白い!
この小説が完成すると、たちまち出版社から高額な出版申し込みがあり、ついで、映画化権も売れたそうです。

なるほど。 良いものを書けば、世間は見過ごしはしないのね。
そして、ただその1作で、書いた人は大金持ちになるのね。 いいなあ...。